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学校では教わらない『お金』の常識


発行:2006.8

17 住宅ローンC:日銀の役割と金利上昇


 2006年3月9日、日本銀行は量的規制緩和を停止することを決定しました。今回は量的規制緩和の停止が与える影響について考えてみます。



 まず、日本銀行とは何をしているところでしょうか?
 日本銀行の役割としては、「3つの働き」と「日本国内の物価を安定させること」があります。



「3つの働き」
@ 日本銀行券を発行することができる「発券(はっけん)銀行」つまり、お金を印刷する働き。
A 一般の銀行から預金を受け付けたり、貸付したりする、銀行の銀行としての働き。
B 政府から預金を受け入れ、政府のお金を管理する「政府の銀行」としての働き。



「物価の安定」
 日本銀行には日本国内の物価を安定させることで、経済の健全な発展を助けるという大きな役割があります。これはバブル経済のように急激に物価が上がったり、下がったりすると国民は大変困ることになります。そうならないために物価を安定させるための政策を「金融政策」といいます。



 そしてこの「金融政策」の方法には(1)金利の変更と(2)量的変更があります。


(1) 金利の変更とは、日本経済の景気が悪ければ世の中の金利を下げて、みんながお金を借りやすくすることです。金利が低いので、みんながお金を借りて使ってくれれば、世の中の景気は回復するでしょうという政策です。逆に景気が良ければ、ほどほどであれば良いのですが、急激に良くなると問題が出てくるので、世の中の金利を上げてみんながお金を借りにくくして、少しだけ物が売れにくくすることで景気を抑えようとする政策です。


(2) 量的変更とは、景気が悪いときに(1)の金利を下げたいのだけれども、金利はもうほぼゼロだからこれ以上は下げられない。という状態のときに、今度は世の中に出回るお金そのものの量を増やそうとする政策です。


 そこで、今回の「量的規制緩和の停止」は「この(2)をやめよう。」という政策です。ということは(2)をやめるのだから、今度は(1)の政策に戻ります。日本銀行は景気が良くなってきていると判断したということなので、今までとは逆、つまり今後は金利が上がる政策を日本銀行はとるということです。


 では、金利が上がることによる住宅ローンの影響を考えて見ましょう。



●住宅ローンを現在組んでいる人


○全期間固定金利の人
・・・・・まったく影響なし。世の中の景気が良くなろうとも、金利が高くなろうとも、日本中の物価が上がろうとも、今支払っている住宅ローンの額は変わらない。


○一定期間固定金利の人
・・・・・固定金利の期間のみ影響なし。固定された期間が終了したら、次の変動金利の人と同様になります。


○変動金利の人
・・・・・返済金額が増えます。以下に具体例を載せました。



具体例1:ローン残高1500万円、残り期間20年、現在の金利2.0%、元利金等返済方式、ボーナス返済なし

毎月の返済金額の変化 毎月の返済金額の増加額 トータルの増加額
金利1%UPの場合 75,900円 → 83,200円 7,300円 1,753,700円
金利2%UPの場合 75,900円 → 90,900円 15,000円 3,603,500円
金利3%UPの場合 75,900円 → 99,000円 23,100円 5,546,600円
金利4%UPの場合 75,900円 → 107,500円 31,600円 7,579,700円
金利5%UPの場合 75,900円 → 116,300円 40,400円 9,699,000円

※ 計算を簡単にするために、金利が変わったらすぐに返済金額も変更するものとしています。




具体例2:ローン残高2500万円、残り期間25年、現在の金利2.0%、元利金等返済方式、ボーナス返済なし

毎月の返済金額の変化 毎月の返済金額の増加額 トータルの増加額
金利1%UPの場合 106,000円 → 118,600円 12,600円 3,776,700円
金利2%UPの場合 106,000円 → 132,000円 26,000円 7,798,700円
金利3%UPの場合 106,000円 → 146,100円 40,100円 12,055,200円
金利4%UPの場合 106,000円 → 161,100円 55,100円 16,533,500円
金利5%UPの場合 106,000円 → 176,700円 70,700円 21,219,300円

※ 計算を簡単にするために、金利が変わったらすぐに返済金額も変更するものとしています。




 金利が5%も上がって、7%なんて非現実的なんて声も聞こえてきそうですが、過去にはそんな時代もありましたのであり得ない話ではないのです。



※ 変動金利で住宅ローンを設定している人は、固定金利への借り換えをお勧めいたします。




●これから住宅ローンを組もうとしている人



金利があがると、住宅ローンすら組めなくなるかもしれません。
金利が上がるということは、景気も良くなるのですが住宅の建築費も当然あがるわけで、そうなると住宅の価額そのものも上がるでしょう。そればかりでなく、融資金額(銀行が貸してくれる金額)が下がってしまうのです。



具体例:年収500万円の会社員の場合、年間の返済可能額は180万円、35年の元利金等返済として試算

金利2%の時の融資可能額 約4,530万円
金利3%の時の融資可能額 約3,900万円
金利4%の時の融資可能額 約3,400万円
金利5%の時の融資可能額 約2,970万円
金利6%の時の融資可能額 約2,630万円
金利7%の時の融資可能額 約2,350万円




ここまで読むと、住宅ローンを組むのは不利?賃貸の方が有利なの?とお思いになるかもしれませんが、そうでもないのです。



◎住宅はインフレに強いのです。


・ インフレとは世の中の物価が上がることを言いますが、インフレになったら、食べ物や衣服の値段は高くなります。でも世の中の景気が幾ら良くなって、物価が幾ら上がっても、借金の額は変わらないのだから、住宅ローンの額は変わらないのです。(固定金利の場合)この時、賃貸住宅の家賃は上がっている可能性があります。


・ ということは、住宅ローンを支払っている人は、家計における住居費の占める割合が低くなるのです。景気が良くなって収入が増えても住宅ローンの支払額は変わらないのです。


・ だからインフレになったら、固定金利で住宅ローンを組んで住宅を購入している人が「勝ち組」といえるかもしれません。



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